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国家の国民に対する最大の刑事罰は死刑です。日本では人命を奪うような重大事件などで適用されており、アムネスティ・インターナショナル日本によると2021年までの11年間に51件の死刑が執行されました。

【日本の死刑執行者数】

アムネスティ・インターナショナル日本より著者作成

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死刑判決が下される事件は耳を疑うほど残虐なものも多く、死刑存置派がいうように、凶悪な事件について死刑を適用することで犯罪の抑止を図るという主張には一定の理解もありそうです。

しかし、事件が冤罪だった場合はどうでしょうか。死刑判決が出された「袴田事件」の再審請求について、今から2年前に最高裁が審理の差し戻しを決定しました。再審が決定されれば死刑が覆る可能性があります。

逮捕から再審判断まで56年…「袴田事件」とは

袴田事件とは、1966年に起きた殺人事件と、その容疑者として逮捕、起訴された袴田巌さんを巡る一連の裁判を指します。

1966年6月30日、みそ工場の役員宅が全焼するという事件が発生しました。焼け跡から刺し傷のある役員と家族の遺体が発見されたことから、警察は殺人・放火事件として捜査を開始します。

同年8月18日、警察はみそ工場の従業員であった袴田さんを逮捕しました。地裁は死刑を言い渡し、控訴および上告がいずれも棄却されたことから、1980年11月に袴田さんの死刑が確定します。

袴田さんの弁護団は1981年4月に再審開始を請求しますが、2008年3月までに申し立ては全て棄却されます。しかし翌月、弁護団は新たな証拠をそろえ、改めて再審請求を行いました。

また弁護団は、検察に対し裁判所に提出していない証拠の開示も求めました。2010年に開示された未提出の証拠には、事件から1年以上たった公判中に発見されたとするものもあり、弁護団は捏造されたものと主張しています。

2014年3月27日、静岡地裁は再審開始を決定し、袴田さんは約48年ぶりに釈放されました。しかし2018年6月11日、東京高裁で再審開始の決定が棄却されます(釈放は継続)。弁護側は同月18日に特別抗告(※)を行いました。

※特別抗告:通常の不服申し立てができない裁判所の決定などが、憲法違反や判例違反にあたる場合、最高裁判所に特別に不服申し立てをすること。

最高裁の判断が注目されていましたが、2020年12月22日、最高裁は高裁の決定を取り消し、審理をやり直すよう高裁に差し戻します。最初の再審開始手続きから39年たち、事態が大きく動きました。

差し戻し審を巡る手続きは、今月5日に全て終了しました。再審を認めるかどうかの判断は今年度内に示される予定です。