5年でNISA口座、買い付け額を2倍に

つみたてNISAをはじめとして、NISAの口座数、買付額が徐々に伸びているのは確かに事実ですが、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAという3つのNISA口座を合わせた買付額の総額は、2022年6月末時点で28兆326億9244万円。NISA制度がスタートしたのは2014年ですから、28兆円の規模にするまでに8年と6カ月の期間を要しています。

これを政府は今後5年間で、NISAの総口座数を、現在の1700万から3400万に増やすことにより、買付額の総額を56兆円規模にまで倍増させると言っているのですから、日本の国民が投資に興味を示すような政策を打ち出さなければなりません。そこで分科会案では、国民が投資に興味を持てるようにするために、以下に示す7つの柱を提示しています。

① 家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせるNISAの抜本的拡充や恒久化
② 加入可能年齢の引上げなどiDeCo制度の改革
③ 消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設
④ 雇用者に対する資産形成の強化
⑤ 安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実
⑥ 世界に開かれた国際金融センターの実現
⑦ 顧客本位の業務運営の確保

このように見ると、①と②が個人にとって具体的かつ直接的なインセンティブとして実感できるところだと思います。

そして、一般的にIFAと称される金融商品仲介業者も含まれるのか、それとも金融商品を販売せずにアドバイスのみを提供する資産運用アドバイザーに限定されるのかは定かでありませんが、「街のかかりつけ医」のような存在の資産運用アドバイザーを増やして、誰もがお金の相談を気軽にできる環境をつくる。さらに、高校で始まった家庭科授業での金融教育をはじめ、企業が従業員を対象に金融経済教育に取り組んだ際のインセンティブを供与し、幅広い世代に金融経済教育を普及させる。「顧客本位の業務運営」の徹底により、個人の金融機関に対する不信感を払しょくすれば、めでたく個人の資産所得は倍増する、というわけですが本当に可能でしょうか。