資産所得倍増プランが目指す3つの要点
政府は11月25日に有識者らによる分科会を開き、岸田政権が打ち出している「新しい資本主義」の柱のひとつである「資産所得倍増プラン」の案を取りまとめました。まず、資産所得倍増プランが目指すところを簡単に要約すると、以下のようになります。
① 投資経験者の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA総口座数(一般・つみたて)を現在の1700万から3400万へと倍増させることを目指して制度整備を図る
② 投資の倍増を目指す。具体的には、5年間でNISA買付額を現在28兆円から56兆円へと倍増させる。その後、家計による投資額(株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を目指す
③ これらの目標の達成を通じて、中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標としては資産運用収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図る
さて、これらの目標を達成できるのでしょうか。
目標実現のために政府が考えているのは、企業部門に蓄積されている325兆円の現預金を、人やスタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの重要分野への投資につなげることに加え、2000兆円を超える家計金融資産を投資につなげて、家計の勤労所得に加え、金融資産所得も増やしていく、ということです。
案に書かれている文章によると、「我が国の家計金融資産 2000 兆円は、半分以上がリターンの少ない現預金で保有されており、年金・保険等を通じた間接保有を含めても、株式・投資信託・債券に投資をしているのは244 兆円、投資家数は約 2000 万人にとどまる。他方、米国や英国では、中間層でも気軽に上場株式・投資信託に投資できる環境が整備されており、米国では 20 年間で家計金融資産が 3.4 倍、英国 では 2.3 倍になっているが、我が国では 1.4 倍に留まっているのは、こうした投資環境の違いが背景にある」としています。
以上の文面を読む限り、誰もが投資にアクセスしやすい環境を整備すれば、この20年間で40%しか増えなかった日本の家計金融資産が、少なくとも英国並みに倍増する可能性があると言っているように思えます。
これ、本当に実現するのでしょうか。