快適な飛行で食事に不満を抱く人も

従来から機内食は病院食とともに、おいしくない食事との定評があったものだが、病院食に変化が見られる。患者に評判の良い料理を出す病院が増えつつあるようだ。

味が薄い、量が少ないと言われていたが、最近は栄養面を考慮しながら味付けも工夫されている。野菜の小皿を毎回の食事に付け、朝に牛乳、昼夜に果物が出たり、曜日限定とはいえ、夕食のメニューを複数から選択できたりする病院まである。

一方、機内食は包装や冷凍、さらには乾燥を用いて保存されることが普通である。さらに高度が約1万メートルとなることから、味の劣化は致し方ない面がある。しかも、安全を確保するために火を使うグリルやオーブンなどの設置は認められていない。機内という狭い空間で食べ物を調理するなど不可能で、せいぜい温め直すぐらいだ。

そして、日頃経験しない高度を飛行中の乗客は、嗅覚や味覚に変化を起こすことも免れない。高度が上がることで気圧が変化し、舌や軟口蓋にある食べ物の味を感じ取る味蕾のほぼ3分の1が麻痺してしまうそうだ。また、機内の空気で鼻の中が乾燥してしまうのもよくある話だ。味覚と臭覚が劣化する中では、たとえおいしい食べ物が出てきても感激はしない。ちなみに、高い空では酸味がかなり弱く感じられるようで、トマトジュースが好んで飲まれるそうだ。