習近平国家主席への権力集中が強まる

第20回共産党大会の結果が市場に大きな影響を与えた要因は、選出された人員によるところが大きい。

共産党大会で決められる事項には、約200名からなる中央委員の選出も含まれる。中央委員とは、総勢1億人に迫る党員数を抱える共産党選りすぐりの人員達だ。選出された中央委員は次の共産党大会までの5年間、毎年1度開催される中央委員会に参加し、党の重要方針の採択などを行う。

共産党大会が閉会すると、例年その翌日に中央委員会第1回全体会議(1中全会)が開催される。1中全会の場では、中央委員よりも党の中枢に位置する25名の政治局委員と、それよりさらに序列が高い政治局常務委員の選出が行われる。

政治局常務委員は、共産党および約14億人の中国国民を代表して国の運営を行う存在であり、国家の「最高指導部」とも呼ばれる極めて重要なポストだ。過去、5人体制であったり、9人体制であったりと時代によって構成人数は異なる。2012年11月に開催された第18回共産党大会以降は、総書記とほかの6人のメンバーからなる7人体制を維持している。

3期目に突入した習近平政権が投資家にとって株の売却を視野に入れる材料となったのは、最高指導部の顔ぶれによるところが大きい。選出された習近平国家主席以外の6人は、全員が習近平国家主席に忠実な人物で固められているからだ。

前回の最高指導部メンバーには、共産党の序列でNo.2の李克強首相をはじめ、習近平国家主席と政策上の対立をみせる人物が数名存在していた。しかし、そのような人員は3期目では最高指導部から外されている。最高指導部への再任を果たせなかった4名は、第20回共産党大会で中央委員にすら選出されていない。

代わりに選出された最高指導部メンバーは、習近平国家主席と関係の深い人物ばかりとなった。この人選により、3期目の最高指導部では習近平国家主席に対して反対意見が出されることはなくなると予測される。