トラブルも多い「特定商取引」とは
旧NOVAを破綻させた原因の1つが「特定商取引法」でした。消費者に不利益が起こりやすい一定の取引を対象に、事業者の規制や「クーリングオフ」といった消費者を守るルールを定めた法律です。具体的には、以下のような取引が特定商取引法の対象となっています。
【特定商取引法の対象となる類型】
これらの取引を行う事業者には、氏名の明示や不当な勧誘行為の禁止などが義務付けられます。旧NOVAは、勧誘時にうその説明を行うといった違反行為が認められ、業務停止命令が下されました。先日も違法な勧誘を行ったとして、日用品などの連鎖販売取引を行っていた大手事業者に取引停止命令が出されています。
このように違法な勧誘が行われ、結果的に消費者が誤認して契約した場合、あとから取り消すことができる旨も特定商取引法に規定されています。さらに一定期間内なら、消費者が無条件で解約する「クーリングオフ」も可能です。
【特定商取引法の消費者を守るルール】
・意思表示の取り消し:違法な勧誘などで誤認し契約した場合、消費者が取り消せる
・クーリングオフ:8日または20日以内なら、消費者が無条件で解約できる
・損害賠償等の額の制限:事業者が消費者に請求できる損害賠償額に上限を設定
出所:消費者庁 特定商取引法ガイド
特定商取引法の対象取引が直ちに違法というわけではありませんが、万が一トラブルに巻き込まれたらこれらのルールを思い出し冷静に対処しましょう。国民生活センターや弁護士への相談も検討してください。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。