昨今、SNSなどを中心に「日本株はオワコン……」という声も目立ちます。確かにデフレが長く続いた日本において、多くの投資家が“悲観”に傾きがちなのも無理はないのかもしれません。

しかし、武者陵司氏は日本企業の稼ぐ力は過去最高に高まっていて、日経平均4万円はすでに射程圏内、10年後には10万円も夢ではないと言います。その理由について語り下ろされたのが、話題の書籍『日経平均は4万円になる!』(宝島社)です。今回は同書の第2章「半導体・ハイテクが拓く日本の活路」より、一部を特別に公開します(前・後編の全2回)。

※本稿は武者陵司『日経平均は4万円になる!』(宝島社)の一部を再編集したものです。

コロナ禍を凌ぎ世界景気が拡大する時代に突入

冒頭からさっそく核心に触れる話から進めていきたいと思います。それは、日経平均株価が4万円になる日は近いと考える重要な根拠、景気動向についてです。

金融緩和政策によって株価の浮揚が促される「不景気の株高」といった現象も時には発生しますが、中長期的に株式市場が右肩上がりを続けるためには、やはり景気の拡大が求められてきます。

結論から先に言えば、これから日本の景気はどんどんよくなっていくと私は考えています。そして、経済成長をけん引するのが個々の企業の業績拡大です。日本企業は自分たちが得意とする領域で大いに強みを発揮し、日本の景気拡大に貢献していくことでしょう。

しかも、次から次へと新たな変異株が登場しているとはいえ、全人類がコロナ禍の最悪期を乗り切ったことは紛れもない事実でしょう。予防のためのワクチンに加えて、有効な治療薬も登場しています。

こうして環境が整いつつあることから、日本だけにとどまらず、世界的にも景気が本格的に拡大する時代がすぐそこまで訪れていることを私は確信しています。ロシアによるウクライナ侵略や、それに伴って起こっているエネルギー価格の上昇も、世界景気を腰折れさせることにはならないでしょう。その点も踏まえて、まずは世界最大の経済大国である米国の景気循環に関する話から進めていきましょう。