前回の小サイクルで米国景気が減速した要因
ここで足元の動きから目を転じ、1つ前の小さな波に注目してみたいと思います。2018年の初めにピークアウトしたと先述しましたが、その後に景気が減速したのはなぜでしょうか?
景気の足を引っ張ったのは、トランプ大統領(当時)と習近平国家主席との間で繰り広げられた米中経済戦争でした。この争いが勃発して先行きが不透明になったことから、株式市場では多くの投資家が資金投入を控えた一方、製造業を中心に企業のマインドも弱気に傾きました。
トランプ氏に代わってバイデン大統領が誕生した後も米中の対立は続いていますし、香港やウイグル自治区の人権問題も衝突の火種となって燻っています。しかしながら、今後も両国が真正面から本気でぶつかり合うことはないでしょう。
詳細については別のページで述べますが、両国は互いに深く依存し合っている関係にあるからです。
現に、2018年の対立時も最悪のケースは回避され、そのことを好感して投資は再び活発になりました。そして、2019年7月31日にニューヨークダウ、S&P500、ナスダック総合指数はいずれも史上最高値を記録しました。コロナ・パンデミックの勃発により、2020年3月にかけて4割もの大暴落に見舞われた米国株価は、同年11月に暴落前の過去最高値を奪回し、2021年にかけてはさらに25%上昇しました。