公務員の公的年金は3階建て

さて、公務員(共済組合員)向けのセミナーでは、いつも公的年金のしくみをお伝えします。基本的な話ではありますが、民間企業にお勤めの人と同じ1階部分(国民年金)と2階部分(厚生年金保険)に加え、公務員には独自の3階部分があるからです。

そして、この3階部分、今30代以上の公務員だと、実は2つの年金があるのです。というのも、平成27年10月、公務員が加入する共済年金は厚生年金に統合されましたが、それ以前に共済組合員だった時期が「職域年金(退職共済年金とも言います)」、それ以降が「年金払い退職給付(退職等年金給付とも言います)」になるからです。そして、65歳以降に1階部分として老齢基礎年金、2階部分として老齢厚生年金、3階部分として「経過的職域加算額」と「年金払い退職給付」を受け取ることになるのです。

「年金払い退職給付」は積立方式

実はこの「年金払い退職給付」、他の公的年金とは異なり、将来の年金給付に必要な原資をあらかじめ保険料(掛金)で積み立てる、いわゆる「積立方式」による給付となっています。保険料を積み立てて運用し、その運用成果を受け取る、ということですから、言ってみれば、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)と同じ、そんなふうにイメージしてください。

まずは積み立て。毎月の給料やボーナス(正確に言えば、標準報酬)の1.5%を積み立てます。この1.5%は労使折半ですので、実際に公務員の皆さまの給料等から天引きされるのは0.75%分になります。

次に運用。これは毎月の積み立て分に、国債の利回り等に連動する基準利率で計算された利子分が積み上がっていきます。でも残念ながら、今の基準利率は0%(2022年10月~2023年9月は0.02%になります ※1)ですから、増えるというよりは、ただただ積み上がっていく、そんなイメージになります。

ポイントは、「ねんきん定期便」で確認できるのが1階と2階、そして3階の「経過的職域加算額」まで、ということ。もう一つの3階部分、「年金払い退職給付」は載っていないのです。ですから、「年金払い退職給付」の見込み額が確認できると、へそくり感覚でちょっとお得感が出る、そんな感じになると思います。

※1 地方公務員共済組合連合会HP「地共連の定款で定める事項(基準利率等)

そして、退職するまで積み立てて、原則、受け取りはじめるのは65歳から。受け取り方法は、半分が終身年金、もう半分が10年または20年の有期年金になります。なお、有期年金の部分は一時金で受け取ることもできるようですね。