「バリュー投資」とは?
バフェット氏は「バリュー投資」の名手といわれています。バリュー(Value)は「価値」といった意味を持つ言葉であり、バリュー投資とは株価が本来の価値を下回っている銘柄に投資する手法をいいます。
バフェット氏が実践していると聞くと、誰もがバリュー投資を実践したくなるでしょう。しかし、企業の「本来の価値(=バリュー)」を把握することは簡単ではありません。
例えば代表的な株価指標の1つに「PER(ピーイーアール)」があります。「株価収益率」のことで、株価÷1株利益で計算される指標です。一概にはいえませんが、PERは一般に15倍を下回るなら割安とされています。
仮に1株利益100円の企業の株価が500円のとき、PERは5倍です。一見割安に見えますが、1株利益は固定されているわけではありません。もし次回の決算で、1株利益が10円にまで減少していたことが明らかになれば、どうなるでしょうか。株価は同じ500円のままでも、PERは50倍にまで上昇します。株価に変動はないにもかかわらず、500円が割高に感じられるようになりました。しかしこれも、1株利益が再び増加すれば割安に見えるかもしれません。
このように、企業の本来の価値を1つの指標で把握することは困難です。より効果的にバリュー投資を実践するには、複数の指標を組み合わせて分析することが望ましいでしょう。その際、PERのような定量的なデータだけでなく、将来性や競合の存在といった定性的な情報も含め総合的に判断するようおすすめします。
また、バリュー投資は市場がその企業の本来の価値に気付き、株価が正当な水準まで上昇することに期待する投資方法ですが、市場が常に正しいというわけでもありません。むしろ、株価が割安に放置されている状況があることこそ、市場が不完全である証拠とも考えられます。どれほど徹底的に分析しても、報われない可能性があることは覚えておきましょう。
とはいえ、バリュー投資は有効な投資方法の1つと考えられています。投資に絶対はありませんが、分析を続けることで利益を得られる可能性が上昇するかもしれません。本来の価値を把握することは難しいですが、挑戦する価値はあるのではないでしょうか。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。