預金者に払う利息は低いものの、実は収益性の高い預貸ビジネス
銀行の資金調達コストである「資金調達費用」は54億900万円で、このうち預金で集めたお金に対して、銀行が預金者に支払う「預金利息」の額は、21億3900万円です。
つまりこの大手地方銀行は、21億3900万円のコストをかけて預金を集め、それを企業向け融資や個人の住宅ローンなどで貸し付けることによって、1412億4600万円の貸出金利息を得ていることが分かります。純粋に収入とコストのバランスで考えると、銀行の預貸ビジネスがいかに儲かるかということです。
しかも、この銀行の預貸率は74%程度ですから、基本的に集めた預金の7割程度しか運用できていないにも関わらず、コストに対して66倍もの収益を生み出しているのです。
ちなみに、貸出金利息から預金利息を差し引いた額は1391億700万円。正直、私たちが預金に預ける際に受け取れる利息を、もっと引き上げられるのではないかとさえ思えてきますが、残念ながらそうならないのは、「営業経費」が大きいからです。
ここに含まれるのは、銀行員の給料や物件費です。この額が1311億3100万円ですから、経常費用総額の2047億2200万円のうち64%を占めています。つまり、貸出金利息から預金利息を差し引いた額が1391億700万円あったとしても、その大半が営業経費で消えてしまうのです。
当然、銀行は営利企業ですから、利益を追求しなければなりません。ましてや株式を上場している銀行ともなれば、株価が安いままの水準に放置され続けると、「破綻リスクが高まっているのではないか」といった、いらぬ憶測を生むことにもつながります。
したがって、銀行は株価を高く維持するのに収益を上げなければならないものの、例えば対面の銀行業務を行っているところは、営業経費の負担が重くなるため、預金の利率を出来るだけ低く抑えざるを得ません。また手数料収入となる「役務取引等収益」を増やすためにも、投資信託の販売に頼らなければならない状況にもあるのです。