きらやか銀行の公的資金申請は、小規模金融機関の経営難を象徴

5月13日、日本経済新聞夕刊に、きらやか銀行が公的資金申請の検討に入ったという記事が掲載されました。きらやか銀行は山形県を地盤とする第二地方銀行です。前身は殖産相互銀行でしたが、1989年の普通銀行転換を経て第二地方銀行になり、2007年に山形しあわせ銀行(前身は山形相互銀行)を吸収合併して、きらやか銀行になりました。その後2012年、第二地方銀行である仙台銀行と共に、金融持株会社である「じもとホールディングス」を設立し、現在に至っています。

今回の記事から地方銀行、とりわけ経営規模が小さい第二地方銀行の置かれた状況の厳しさが見えてきます。第二地方銀行の前身は、相互銀行法という法律を根拠に設立された相互銀行で、大半は本店所在地である都道府県のみで営業を行う地域金融機関でした。

ところが1980年代後半にかけ、日本経済がどんどん拡大していくなかで、地方銀行と相互銀行の違いが不明瞭になったため、1989年に相互銀行の普通銀行転換が行われました。

日本には、実にたくさんの種類の「銀行」、あるいは「銀行に類似した機能を持つ金融機関」があります。皆さんの住んでいる地元だけで考えてみても、「都市銀行」、「地方銀行」、「第二地方銀行」、「信用金庫」、「信用組合」、「ゆうちょ銀行」などの看板を目にすることがあるでしょう。

なぜこれだけたくさんの、さまざまな種類の金融機関があるのかというと、日本が戦後、経済を復興させていくうえで、人や物資は言うに及ばず、莫大な資金を必要としたからです。

個人がモノを購入するだけでなく、企業がさまざまなモノを生産するためには巨大な工場や、各種インフラを揃えなければならず、それらを調達するためには、とりもなおさず資金が必要でした。その資金を日本の隅々から調達し、さらに日本全国の企業に貸出という形で行き渡らせるためには、たくさんの金融機関が必要だったのです。

その結果、大企業に対する比較的期間の短い融資は都市銀行、長期の設備投資資金融資は長期信用銀行と信託銀行、地元の中堅・中小企業は地方銀行、地元の中小・零細企業には第二地方銀行、信用金庫、信用組合というように、融資先の規模などに応じて金融機関のすみ分けが明確化されていました。