OECD加盟国はほとんどが18歳成年

いよいよ4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳以上は「成人」と見なされることになった。といっても、飲酒や喫煙、ギャンブルなど一部のものは従来通り、20歳になるまで禁じられる。では、今回の改正で18歳になると何が出来るようになったのか。あるいは、何が出来ないのだろうか。ここでは、主に契約やお金回りの「出来ること」「出来ないこと」を取り上げてみる。

その前に、なぜ日本において成年年齢が引き下げられたのかを探ってみたい。理由としてよく挙げられているのが「選挙権を18歳に引き下げたから」というもの。もともと選挙権における年齢引き下げは、憲法改正の議論の時に浮上した。憲法改正の国民投票に関する法律が2014年6月に改正され、国民投票の年齢が「18歳以上」になった。そこに合わせて選挙権年齢も2018年より引き下げられた。

それと連動し、民法上でも18歳以上を大人として扱うのが妥当ではないかという議論が進んだ。ただ、これはタイミングの問題で、いずれなんらかの機会に検討されていたのではないかと感じる。というのも、多くの先進国は以前から18歳成年を採用しているからだ。

OECD加盟国35か国の中で、成年年齢を18歳と定めている国は32。韓国は19歳成年、ニュージーランドと日本だけが20歳成年を採用と、もともと日本は少数派だった(※)。そのことと、少年犯罪の年齢引き下げを求める議論や、少子高齢化で早く若者に社会に参加してもらいたいという要素など、様々な背景があって、ほかの先進国と足並みを揃えたのではないかと推測できる。
※ただし、アメリカ、カナダは州ごとに19歳成年、21歳成年など違いがある。

そもそも、日本で20歳を成年年齢とする法律ができたのは明治8年(1875年)。その時と今では、若者の身体の成熟度や社会状況は大きく違う。また、先進国は程度の差はあれ、ほとんどの国が少子高齢化に悩まされており、成長国のようには若年層のパワーに期待できない。数の少ない若年層グループに、なるべく早めに社会にコミットしてもらい、活力となってもらうという考え方は、合理的なのかもしれない。