これからの人生も長いが、「お別れの時期」も近づいている

離婚時に年金の分割ができるとはいえ、それだけで離婚後の生活が可能かというと別の問題です。分割の対象となる婚姻期間が短かかったり、配偶者の年収があまり高くない場合は分割されても受けられる年金額は少ないでしょうし、そもそも厚生年金に加入して働いてないと分割できる老齢厚生年金がありません。

お金の問題に解が見つかると、今後の選択肢が明確になることがあります。離婚は、今の生活を中断することですから、あらかじめその後の経済状況を見積もることは可能です。そのうえでどのような決断を出すのかはもちろんご本人の決断です。

もし夫婦のお金の全体像を把握していないのであれば、これからを一緒に生きていくにしても必要な情報ですから把握するように働きかけをします。今資産はどこにいくらあって、定期預金なのか有価証券なのかを一覧にします。住宅ローンなどの負債はいくら残っていて金利はいくらなのかも確認します。万が一の保険も契約者と受取人、保険金の額もチェックしていきます。

日々の生活に必要なお金も洗い出しましょう。生活費はひとりになったからといって単純に半分にはなりません。なんとなくかかっていたお金をリストアップすることで、必要かどうかを判断します。

そのうえで、これからの生活をイメージしていきましょう。二人で暮らすパターンに加えひとりで暮らすパターンを考えます。同じひとりでも、配偶者が亡くなった後は遺族厚生年金が受けられるケースも多く、こちらは配偶者が受け取っていた老齢厚生年金の75%ですから、離婚による年金分割より金額が大きくなります。

いずれにしても、これからの人生どう生きるかは自分次第です。新しい暮らしを選ぶのも、今の暮らしを続けながらも折り合いを見つけるのも、自分を幸せにするための大切な選択肢です。これからの長い人生は同時にお別れに近づく毎日でもあります。そのなかでどう生きるべきか目をそらさず考えてみましょう。
 

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