「個別企業への投資」の視点で捉えるインフレ・ヘッジ

まず、個別の企業を見てみましょう。ざっくり言えば、一般的に企業の価値は稼ぎ出す利益の成長率が高まれば増加し、金利が上がると減少します。インフレになると通常は金利が上がるため、成長率が同じならば企業価値は減少するのです。つまり、インフレは企業価値にとってはマイナス要因となります。

一方、インフレで原材料価格が上がったとしても、販売価格を引き上げることで利益を確保できるのであれば、インフレからくる金利上昇のマイナス効果を打ち消すことができますから、インフレの影響は限定的になります。これができる企業はメイン・ビジネスにおいて寡占状態となっており、市場での価格決定力を握っている場合が多いと思われます。

このような企業を特定し、投資することができれば、インフレ・ヘッジとして機能する可能性は高いでしょう。ただ、残念ながら今の日本企業の中には、この条件を満たせる企業は少ないかもしれません。