汎用と複雑が混在!? 継続投資教育の難しさ

多忙な日々を送る加入者の皆さんは、DCはご自身が将来受け取る年金のための運用だと理解していても、常にDCを意識しておくことは難しいのが現実です。またDCは長期運用ですので、日々変動する金融動向に応じて即行動しなければいけないというものでもありません。こうした時間という視点でDCをみた時、加入者自身の興味や意識がどうしても薄れてしまうのは仕方のないことです。

そうした現実の中で、事業主が提供する定期的な継続投資教育の実施は、企業型DC加入者にとっては非常に有効な情報収集・学習の場となっています。しかし一方で、私の元には自社の継続投資教育実施に関して、事業主ご担当者様から数多くの相談が寄せられます。

ご相談いただく内容を大きく分類すると、圧倒的に多いのが「社員が自分に見合った運用行動を起こしてくれない」というご相談です。これは自社で継続投資教育を実施した結果、その効果が出なかったことを踏まえてのご相談なのですが、課題のポイントとしては、やはり加入者自身のDCへの関心(認識)と理解レベルが大きく起因しています。

ひとくちにDC加入者と言っても、個々の運用に関する経験や理解、DCに対して抱く印象は異なります。前述の通り、事業主は全従業員に対して、DC運用を通じて定年後の人生が豊かになるよう、少しでも理解と自立性を持てるよう、教育メニューを考案・教育を実施していますが、自社の加入者の多くがDC運用に興味関心が薄い、あるいは運用に消極的であった場合、事業主としては教育のレベルをどうしても低い方に合わせざるを得ず、教育の内容が汎用的とならざるを得ない実情があったりします。

そしてその内容が汎用的であるが故に、加入者から見ると毎年同じ内容をやらされていると感じてしまい、教育に臨む意識も低下しますので、結果としてDCへの興味関心が薄れ、誤った投資行動を行ってしまうというマイナスのループが、企業型DCの現場で発生しているケースが多く見受けられます。