これまでの資産運用の常識が変わりつつある

認知機能が衰えつつある高齢者にさらに追い打ちをかけるのが、世界一と言っても過言ではない日本の長寿化とインフレです。以前は「老後はリスクを取った運用なんてすべきではない。仮に資産運用をしていた場合には、認知症になったらすべてキャッシュ化すべし」といった考え方が通説だったと思います。

しかしながら、長寿化はどんどん進展し、長くデフレ(もしくはディス・インフレ)だった日本経済にも資源価格の上昇を通じてインフレの波が押し寄せようとしています。このような状況に対処するには、預貯金のみでは不十分であり、ある程度の市場変動リスクを取ってでも、しっかりと増える資産で運用する必要性が高まっています。

このような中、最近では「80歳を過ぎても資産運用したいのだけど、高齢という理由で、どこの金融機関も取引をしてくれない」という問題も生じているようです。労働市場にも当てはまることですが、これからの時代は一律に暦年齢で判断するのではなく、生物学的年齢を考慮して、高齢ではあるけれども判断力がしっかりしている人には、働く機会や金融取引をする機会などが提供される社会を目指すべきではないでしょうか。