〈前半のあらすじ〉

会社員の山崎さん(仮名、28歳男性)は勤務先で副業が解禁され、ワンルームマンション投資を始めることに。不動産会社の営業マンから「家賃10万円で表面利回り年4.8%」「ローンを払い終わったら家賃が全額入る」「将来や老後の心配はない」などと言われ、契約書にサインしました。

しかし、いざオーナーになってみると「聞いていた話と違う」ことが次々と明らかになり……。山崎さんを襲うさらなる悲劇とは? 失敗しないために注意すべき重要なポイントとは?

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聞いてない! マンションの価値が下がってしまった

購入時には2500万円の新築物件だったマンションですが、山崎さんが購入してから1年もすると、価値が2000万円に下落していました。

これだけで500万円のマイナスです。

マンションの価値が下がったせいで売るにも売れず、山崎さんは「お荷物」となったマンションを抱えて30年のローン返済を続けざるを得なくなってしまいました……。

ワンルームマンション投資の落とし穴

ワンルームマンション投資は「ほぼもうからないビジネス」です。特に不動産会社が初心者に勧める物件は危ないと考えましょう。理由は以下の通りです。

表面利回りは得られない

不動産会社は「表面利回り」を提示して「もうかります」と説明するケースが多いのですが、実際には表面利回りを得られない事例が大多数です。表面利回りとは「満室を前提に1年の家賃収入を物件価格で割った利回り」であり、経費がまったく考慮されていません。利回りを考えるときには、「実質利回り」を計算すべきです。実質利回りとは購入時や購入後にかかるコストを入れた現実的な利回りをいいます。

不動産会社の営業マンの言葉をうのみにした点で、山崎さんは落とし穴にはまってしまったのです……。

コストが高い

不動産投資をするときには、必ず「コスト」を考えなければなりません。管理費や税金、修繕費用などがかかるので、家賃がそのまま利益になるわけではないのです。

コストを計算せずに契約してしまった山崎さんは安易でした。

価値下落リスク

不動産を購入するときには「キャピタルゲイン(値上がり益)」の視点も重要です。キャピタルゲインとは、マンション自身が値上がりして高く売れる利益です。

ワンルームマンション投資では、山崎さんのように「買った途端に価値が下がって損失が出る」ケースも少なくありません。価値が上がる見込みのある物件なのか、少なくとも価値低下を避けられるのかなど、見極められる目を養ってから投資物件を選ぶべきです。

「節税になる=赤字」という意味

山崎さんは「節税対策になります」という営業マンの言葉に誘われて契約していますが、「節税になる」ということは「不動産投資が赤字になる」という意味です。もうけが出たら税額は上がるので、節税にはなりません。

「節税対策になります」と言われたら、「なぜ赤字になるものを勧めるのか?」と疑問を持つべきでした。