資産配分が高くなりがちな日本比率を調整すべき
一方、ほかの資産クラスはどうでしょうか。
たとえば最もボラティリティが高いと思われる新興国株式の場合、2017年は33.6%の値上がりとなり、各資産クラスでもトップのリターンをおさめましたが、翌年の2018年は▲15.8%で8位に転落しています。海外REITもボラティリティが高く、2017年は5.7%だったのが2018年中は▲8.3%、2019年は23.3%、2020年は▲12.2%と、そして2021年は51.3%というリターンを叩き出して、8資産クラスのなかでトップとなりました。
このように、プラスとマイナスの振れ幅が大きな資産クラスだけで運用すると2021年の海外REITのように、1年間で50%超のリターンが実現すれば非常に満足できるでしょう。ただ、2020年のように▲12.2%まで低下すると、投資家の中にはそれ以上の損失をおそれ、大底で解約をする人も出てきしまいます。2020年の下げに耐え切れず、保有し続けてきた海外REITを手放した人は、2021年の51.3%もの値上がりを、どういう思いで見ていたでしょうか。
だから、長期投資を前提にするのであれば、異なる資産クラスに分散投資するのが合理的と言われるのです。
もうひとつ、分散投資で注意しなければならないのは、たとえば8資産に等金額投資を行うと、どうしても日本の株式と債券への資金配分比率が高くなります。たとえば8資産に等金額投資ということは、1資産クラスへの資金配分比率は12.5%。日本の株式と債券、REITに12.5%ずつ投資した場合、3資産クラスの合計比率は37.5%です。グローバルな分散投資ポートフォリオで運用することを前提にした場合、日本の資産だけで全体の37.5%を占めるのは、かなりバランスが悪いのです。したがって、自分で8資産に分散投資する場合は、全体のバランスを見て、日本の資産をある程度下げる必要があります。