適切な投資行動を邪魔してしまう「損失回避バイアス」

「現状維持バイアス」に加えて、人間には利益から感じる幸せよりも、損失から感じる痛みのほうを大きく感じる特性もあります。この特性のことを「損失回避バイアス」と言いますが、この特性にそのまま従うと、損失を回避したいという強い思いから、大きな損失が生じている局面で一発逆転の発想で高いリスクを取ってしまったり、逆に運用で利益が出ているときには、すぐに満足して売ってしまって大きな機会損失を被ってしまったりします。このような問題行動は、実際にしばしば散見されます。

また、「選択肢は多いほうが良い」とよく言われますが、実際に選択肢が多くなると、人間は得てして比較するのが面倒になり、適切な判断ができなくなったり、意思決定を先送りしたりします。ネット証券で口座を作ったものの、いつまでたっても投資が始められないといった人が多いのは、これが主な理由ではないかと思います。

結局、多くの人は「現状維持バイアス」によってそもそも投資をしないし、仮に投資教育で投資を理解し、投資を始めたとしても「損失回避バイアス」によってなかなか正しい投資行動を取ることはできないのです。

なんだか絶望的ですよね。でも、安心してください。対策はあります。