緩やかに円安が進んでいます。今年に入ってからの米ドル/円は、1月6日に1米ドル=102円59銭の安値を付けた後、徐々に米ドル高が進み、11月24日には1米ドル=115円52銭で、2017年1月以来4年10カ月ぶりの円安水準となりました。

実質実効為替レートは歴史的な円安水準

1米ドル=115円台といっても、「まあ、そんなに円安じゃないよね」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。過去を振り返ると、1995年4月に1米ドル=79円75銭をつけた米ドル/円は、その後、日米が協調して大規模な円売り介入を実施したことによって、1998年8月には1米ドル=147円23銭という安値を付けました。その時の水準から見れば、115円台はまだまだ円高だと思う人がいても不思議ではありません。

ところが、実は今の円は、歴史的な安値圏にあるのです。

今の米ドル/円レートである1米ドル=115円台という数字は、「名目為替レート」のことです。名目為替レートとは異なる通貨の交換比率を示したものに過ぎません。名目があれば実質があるように、名目為替レートに対して実質為替レートというものがあります。これは、名目為替レートに国と国の間の物価上昇率の差を考慮したものであり、さらにさまざまな国との貿易額なども加味して計算されるのが「実質実効為替レート」です。この実質実効為替レートでみて、円は歴史的な安値水準にあるのです。