大手証券会社といえば「野村證券」や「大和証券」、「SMBC日興証券」が浮かぶと思います。しかし、実は以前「山一證券」という大手証券会社がありました。1997年11月24日、山一證券は経営破綻し、表舞台から姿を消してしまいます。「社員は悪くありません」と訴えた記者会見が記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。

山一證券が破綻した原因と、証券会社が破綻したとき私たちの資産がどうなるのか、本記事で確認しましょう。

1997年に経営破綻。原因は「簿外債務」

山一證券は1997年、帳簿に載らない債務「簿外債務」が拡大し、資金繰りが行き詰まるとの判断から自主廃業を決定します。四大証券とも称された巨大証券の廃業は世間に大きなショックを与えました。

山一證券が簿外債務を拡大させた背景には「にぎり」と「とばし」と呼ばれる2つの取引があります。

「にぎり」とはこの場合、利回りを保証してリスク商品を販売する行為を指します。山一證券は「もし損したら補填します」と約束し、たくさんの商品を販売しました。金融庁によると、1989年5月~1991年9月の間に顧客企業86社で「にぎり」が確認されたようです。

この間、損失となった商品に対して行われた取引が「とばし」です。買い戻しを条件に、損失となった商品を一時的に売却して帳簿から外し、損失がないよう見せかける取引を指します。

山一證券は顧客に生じた損失を引き受け、ペーパー会社を設立し「とばし」を行いました。山一證券の社内調査によると、損失が生じた主要顧客7社から引き受けた時点の損失は1207億円に上っていたようです。損失はその後も膨らみ、山一證券が破綻する1997年11月24日には1583億円にまでなっていました。

結局、山一證券が抱えた簿外債務の合計は2600億円に上り、自主的な再建を断念。創業の1897年からちょうど100年で歴史に幕を下ろします。