株式市場の「優しい顔」と「怖い顔」
ここ数年は株式市場が順調に推移していることもあり、資産形成と言えばシンプルに株式投資と考えている人もいるでしょう。でも、忘れてはならないのは、最近の上昇しか経験していない人は、株式市場の優しい顔しか見ていないということ。株式市場は別の一面も持っています。2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大で、株式市場は一瞬だけ怖い顔をしましたが、すぐに優しい顔に戻りましたので、株式市場の怖い顔を直視したわけではなかったと思います。
でも少し前を振り返ると、2008年のグローバル金融危機では、グローバル株式は4割以上も下落し、その後、数年間にわたって市場は低迷しました。つまり、長い間、非常に怖い顔をし続けていたのです。実際に怖い顔を見ていないと想像できないかもしれませんが、投資においては、この怖い顔を想像して計画を立てることが重要なのです。
考えてみれば、これは当たり前のことです。もし皆さんが航海に出るとしたら、穏やかな日のみを想定するのではなく、当然“しけ”も覚悟すると思います。株式投資も同様です。皆さんが4割以上の下落と回復までに相応の期間を要することに耐えられる人であれば、株式投資のみで問題はありませんが、株式投資が初めての人は、そこまでの下落に耐えられないかもしれません。
最悪な投資行動は、投資元本が大きく減少したことで怖くなってしまい、その瞬間に投資をやめてしまうことです。このような経験をした人は、その後、株式投資を再開することがないかもしれず、株式投資を通じて世界の成長を取り込み、将来に向けて資産を効果的に増やすことができなくなります。そのような状況に陥らないためには、特に初心者のときには過度なリスクを取りすぎないように、分散投資をすべきだと思います。
分散投資というのは、株式に加えて債券や不動産などにも投資先を配分することです。そしてその配分比率のことを「資産配分」と言います。リスクを下げるには、安全資産である債券への配分が重要なため、特に株式/債券間の配分比率がとても重要になるのです。今回は、資産運用においてこの資産配分がどのように重要なのかを見ていきます。