資産配分はダメージ・コントロールの手段
債券(特に日本国債)は変動幅が小さく、安全資産と見なされています。株式と債券に分散投資をすることで、株式が下がったときには債券がその下げ幅を補ってくれるのでリターンが安定します。この効果を狙って一部を債券に配分することで、株式市場が怖い一面を見せたときであっても、うまく乗り切れるようにするのです。
ここでのポイントは、株式と債券をどのくらいの比率で持つかということ。つまり、株式50%/債券50%が良いのか、それとも80%/20%が良いのか、ということです。
「そんなのよく分からないから、ざっくりと“半々”でいいのでは?」と思う人もいるでしょうが、“半々”というのは分かりやすいので最初の一歩としては悪くありません。実際、“半々”で運用している投資信託も多いと思います。
しかし、債券よりも株式の変動性が圧倒的に大きいため、結局“半々”ではかなり株式に振り回される運用になってしまいます。株式市場からの影響をなるべく抑えたい場合には“半々”は不十分であり、株式20%/債券80%のように債券中心の資産配分にする必要があります。もちろん、この資産配分では損失は抑制できても高いリターンは期待できませんから、期待リターンと損失のバランスを考えながら納得できる落とし所を考えていくことになります。なんとなく“半々”とするのではなく、ひと手間かけて事前にこの資産配分を自分の希望(リスク許容度)に合うように決めておけば、株式市場の混乱時にも損失が想定内に収まることが多く、安心して長期投資ができるようになるのです。
ちなみに、日本の投信の場合、リターンの出方の約90%は資産配分で決まってしまう、との分析結果があることもからも、資産配分の重要性が理解できると思います(出所:『ポリシー・アセットアロケーションの説明力』小松原宰明、2008年)。