半導体市場の景況感を表す「SOX指数」

「SOX指数」は主に米国の主要半導体関連企業30銘柄で構成された株価指数だ。

SOX指数を算出、公表しているのは米・フィラデルフィア証券取引所。1993年12月1日を基準値100としており、2021年8月24日の終値は3345である。28年間で実に33倍以上も上昇しており、半導体市場の急成長を物語っている。

半導体はPC、スマホ、液晶テレビ、自動車などあらゆる製品に使われている。各種製品の需給が変化すると、関連企業の業績も影響を受け、指数も変動する。

一般的に半導体セクターは景気変動の影響を受けやすい景気敏感株として知られている。そのため、SOX指数も景気を読む参考として使われることもある。SOX指数の動向は米国に限らず世界全体の半導体市況に関する投資家の見方を表しており、日本の半導体関連銘柄の株価にも影響を与えている。

また、国内において半導体株は日経平均への寄与度が大きい値がさ株が多い。SOX指数の下落を受けて、半導体市場の先行きが不安視されて半導体株が下がると、日本株式市場全体も下落する傾向にある。

2000年1月~2021年8月のSOX指数の推移 Yahoo!Financeより筆者作成

SOX指数は2000年前後にITバブルの影響で、ハイテク企業の増加などにより大きく上昇したが、バブル崩壊で急落してリーマンショックで底を打ち、その後は上昇傾向が続いた。

コロナ禍では巣ごもり需要により、ノートPCなど通信端末の売り上げが伸び、半導体の需要が大幅に増加。関連企業の大幅な利益増により株価が上がり、SOX指数も上昇した。自動車の利用減少を見込んで減産されていた車載用半導体が、中国の早期経済再開により、思わぬ需要増を受けて深刻な不足に陥ったことも、指数の上昇傾向を加速させた。

2021年8月初旬に過去最高値を付けたが、車載用半導体不足緩和のニュースから直近では下降トレンドとなりつつある。

一方でIT関連機器の需要はまだまだ堅調なうえ、今後は5G、AI、VRといった先端技術の普及も予想される。SOX指数も長期的な観点ではまだまだ上昇が期待できるだろう。