コロナ禍で注目を浴びた指数を紹介

2020年から続くコロナ禍では、いくつかの指数が不安定な景況感を背景に大きく変動し、注目を浴びた。ここからはそれらの指数について一つずつ紹介していく。

株式市場の振れ幅を示す「VIX指数(恐怖指数)」

「VIX指数」は投資家が株価の今後の値動きにどれほどの振れ幅を見込んでいるかを数値化した指数だ。相場の先行きに対する警戒感を示しており、別名で恐怖指数とも呼ばれる。

VIXとは「Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)」の略語。ボラティリティとは値動きの変動性、インデックスは株式の市場動向を示す株式指数をそれぞれ意味する。

1993年より米・シカゴ・オプション取引所が算出と発表を行っており、米国の主要株式指数の一つである「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きをもとにしている。

相場が下落し、値動きの変動性が高まるとVIX指数の値も上昇する。通常は10~20の間で推移するが、相場暴落時には40~50にまで上がることも。

過去に40を超えた事例は多くなく、米同時多発テロ(2001年9月)やリーマンショック(2008年9月~)など、どれも世界的な事件がきっかけとなった。

今回も新型コロナの影響で株価が暴落した2020年3月のコロナショックの結果、リーマンショック以来の過去最高水準となる80を超えた。しかし、その後は大規模な金融緩和策や経済回復期待から株式市場が復調し、低下傾向にある。

なお、日本にも「日経平均VI」という同様の指数がある。日経平均VIは2008年のリーマンショックで相場が大暴落したときには過去最高の92まで、2011年の東日本大震災の直後には70に迫る水準まで上昇した。コロナショックで相場が急落した時も日経平均VIは46に上がっている。

投資の面から言えば、VIX指数が安定した水準にあるときに株式市場に投資をすれば、大きな損失を被るリスクを抑えられると言える。市場と逆の動きをするVIX指数に連動した投資信託もある。ポートフォリオの一部に加えておけば、市場全体が暴落してもその投資信託は値上がりするため、それを売却することで資産の損失を緩和することにもつながる。

現在、米国株式市場は堅調。それに伴いVIX指数も比較的安定して推移している。ただし、今後急上昇する懸念もある。早ければ年内にも量的緩和策の縮小が開始されると見られており、もし実行されれば株式市場が再び大幅に下落し、VIX指数も急上昇する可能性もある。