高齢者の6人に1人が認知症という時代

8月12日付、日本経済新聞夕刊の1面トップには、「認知症 自宅の売却難題」という見出しがありました。

この記事のベースになったのは第一生命経済研究所のレポートです。同社経済調査部の主任エコノミストである星野卓也氏が書いたもので、総務省の「住宅・土地統計調査」と年齢別の認知症有病率をもとに認知症の人の保有する住宅の数を推計したところ、2018年時点で210万戸、2021年時点で221万戸という結果が得られたというのです。これに将来世帯数推計を用いて試算すると、2040年時点では280万戸まで増加するという予測が導き出されました。

おそらく、読者の中にも高齢のご両親がいらっしゃる方が多いのではないでしょうか。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2020年時点で65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人になっており、6人に1人程度が認知症有病者と考えられています。

総務省が公表している「住宅・土地統計調査」によると、世帯主の年齢が60歳以上での持ち家比率は80%にもなります。その中の一定数が認知症になる恐れがあるのです。

認知症になると、本人の「意思能力」が失われたとみなされます。結果、自宅売却が困難になります。たとえ子供が売却したいと主張しても認められないのです。

これはさまざまな問題につながります。