認知症で自宅を売却できないしわ寄せは子供に

親が認知症になったら、介護施設などに入所させる必要が生じてきます。近年は親と同居する世帯が大きく減っており、子供が独立した後は年老いた両親、もしくは単身で生活するケースが増えています。この状態で親が認知症になった場合、そのケアをどうするかという問題が生じてきます。

もちろん、独立した子供が近所に住んでいるのであれば、通って面倒を見ることもできるでしょうが、仕事の関係で遠方に住んでいる場合はそういうわけにもいきません。最近は親を介護するために仕事を辞めて帰郷したものの、地元で仕事を見つけることができず、親子共倒れになるという悲惨な事例もあります。

そうならないようにするために、親が認知症になってケアが必要な場合、介護施設に入居させるという手があるのですが、そのためには資金が必要になります。親がそうなることを事前に想定して貯蓄をしっかり行っていれば問題ありませんが、現実にはそうではないケースもたくさんあります。

家は持ち家だけれども貯蓄がないのであれば、自宅を売却して介護施設に入居するための資金を捻出することも考えなければならないわけですが、ここで親が認知症になり、最低限の判断能力も失われているとなったら、自宅売却を進めることができなくなります。

そうなると、しわ寄せは子供に行きます。親の介護費用に加えて、自宅を売却できないまま放置することになりますから、その自宅は空き家になります。誰も住んでいなくても固定資産税などの管理費用がかかりますから、子供たちの負担はますます重くなっていきます。