――新NISAへの対応は?
現在、広く販売している公募ファンドは約180本ありますが、そのうち、デリバティブを使ったファンドや毎月決算型等、制度で認められていないファンドを除くと120本ほどになります。この中から残高が少額等の特別な事情のあるファンドを除いた100本ほどを新NISAに対応させる予定です。つまり制度で認められているファンドは、おおむね対応するイメージです
新NISAでは毎月決算型ファンドが投資対象外となります。分配金をお支払いすることによって複利効果がなくなり、そのために資産形成に不向きといわれるのはもっともなのですが、定期分配には利益を確定させる機能といえる部分もあります。資金の一定程度の取り崩しを希望されるお客様には、自動的に投資収益の一部を払い出す仕組みは、有効な手段の1つでもあります。新NISAにつきましても、若者だけが対象の制度ではなく、現役をリタイアされて、それまでの蓄財を効果的に運用して資産を活用することを考えるお客様もいます。お客様の多様なニーズにお応えするという意味では、定期分配型のファンドも選択肢になると思います。
また、NISAの非課税の効果を実感していただくという点でも、定期分配の仕組みは効果があります。毎回の分配金から、普通分配金であれば税金が控除されませんので、制度の価値をより良く納得していただけるのではないかと思います。つみたて投資で、非課税で積み立てた結果がファンドを解約した数十年後にわかるというより、すぐにでも非課税効果が実感できることも、制度の普及には重要なのではないかと思います。制度を利用される方のご意向を良く理解して、それぞれの方が制度の恩恵を受けることができるように、制度の理解が進めばよいと思います。
新NISAだから、このような新商品を出そうということは、今のところ考えていません。ただ、単純な低コストのインデックスファンドではない、比較的コストを抑えた商品の開発は、新商品としてひとつのポイントになると考えています。たとえば、私どもが提供している「配当貴族(長期にわたって増配等を実施している企業)指数」に投資するファンドは、ここ数年のパフォーマンスは好調だったのですが、そこにお客様がビビッドに反応してくださっているとはいえません。商品としてのわかりやすさや知名度と、運用の仕組みや期待収益率などをバランスよく伝えていけるよう、私どもも販売用資料等を工夫して改良する必要があります。
また、つみたて投資は、一度つみたてを始めると、それほど投資対象を変えるようなことなく継続する投資手段です。10年後、15年後に、その方の生活環境が変わっているにもかかわらず、投資対象を変更しなくても良いのかということも課題になります。ネットで購入されるお客様に対するインデックスファンドの情報提供の仕方も工夫していきます。
NISAが恒久化されたことによって定期的に資産の内容をご確認いただく機会も増えると思います。そのような運用状況を見ていただける機会を大事にしていく必要があると思っています。