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騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.04.03
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騒動中の就活の末――損保ジャパン社長が396人の新入社員に語ったこと

4月1日、金融業界各社で入社式が行われた。損害保険ジャパン新宿本社では、新入社員396人が参加。ビッグモーター問題後、業界全体がまだ揺れている中での就職活動の末に入社を決断した若者たちに対し石川耕治・代表取締役社長は、法改正など環境変化に言及しつつ「当たり前を疑い、先輩や上司が作り上げたルールに疑問を持ったらすぐに声を上げてほしい」と呼びかけた。同社は人事制度の移行期にあり、新人の定着は改革の成否を占う試金石になりそうだ。

「疑問を持ったら、すぐ声を上げて」

損保ジャパンは、一連の不祥事からの信頼回復に向けた取り組みを、「SJ-R」と銘打って推進している。入社式で挨拶した石川耕治・代表取締役社長は、「リボーン、リスタート、レボリューションの意味を持つ『R』に思い入れがあり、会社を新しくするつもりで進めている」と強調。「6月には保険業法が改正され、損保業界や損保ジャパンは大きな変革に対応しなければいけないタイミングにある中、社員と会社の持続的成長のために考え出されたこのSJ-Rプロジェクトを、皆さんと一緒に成功させていきたい」と語った。

加えて、新入社員たちに「当たり前を疑ってほしい」と要望。「入社後、配属されると色々な先輩、上司がいて、その職場で作り上げられたルールがある。(同社の起源である日本初の民営保険会社「東京火災」創業以来)138年の会社の歴史の中で、効率性や一体感という意味ではそのやり方が良いかもしれない。ただ、もし皆さんがそのやり方に疑問を持ったら、すぐ声を上げていただきたい。新しい感性やまだニュートラルな目線、視座がとても損保ジャパンにとっては重要であり、常識にとらわれない視点は大歓迎だ」と述べた。

 

今年度中「同意なき転勤廃止」視野

損保ジャパンはこの数年、地域枠採用の強化に取り組んでいる。

同社は転勤について、制限を設けない「限定無し」、九州地方などおおまかに配属先を限定するブロック限定、自宅から出勤できる範囲に限定する地域限定といった区分整理で募集している。ブロック限定と地域限定を合わせた比率は従来、半分程度だったが、足元では7割近くに拡大しているという。加えて、今年10月には同意のない転勤の廃止を盛り込んだ制度改正を予定している(足元では労使協議中)。

 

囲み取材に応じた新入社員の永井寧緒さん(22)は愛媛のブロック限定枠で入社した。「損保ジャパンは結婚・出産後も働き続けている社員の女性の方々が多く、私の長期的なプランに合っていると考えている」と述べ、「限定枠は、長い目線で安心してキャリアを築けるところがメリットだと思っている。地域で今までお世話になった方たちへの恩返しをしながら自分自身も成長し、企業や個人の方々に安心を届けられるような働き方をしていきたい」と意気込みを語った。

 

白尾俊人・人事部長はこう話す。

「転勤によってその働き方や生活、人生、価値観が左右されるのではなく、働く場所や、職場で何がしたいかを学生時代から明確に決めて研鑽し、キャリアを自分で決めたいという人が増えてきている。一方、会社に自分の適性を見極めてほしい、強みを見出してほしいと望む人もゼロではない。多様な考え方を受け入れることこそが、社員に選ばれ、会社が選んでいく関係性として大切なことだと考えている」

 

あえて「限定無し」選ぶ新入社員も

新入社員の矢吹恭輔さん(25)は学生時代、タンパク質に関する研究に打ち込んできたが、あえて配属先に制約を設けない総合系の「限定無し」の枠を選んだ。「メーカーに研究職として就職する友人も多いが、モノを作るより、ニーズを汲み取ってヘルスケア分野等で新しい事業を立ち上げることに携わりたいと感じ、文系職を志望した。まずは法人営業に携わって、ホールディングスが有するソリューションについて理解を深めていきたい」と語る。

騒動の中での就職活動にも関わらずあえて同社を選んだ理由を問うと、「迷ったところもあったが、様々な業界・企業を見る中で、私自身が築いていきたいキャリアを最も実現できる可能性が高いと考えて志望した」――筆者のひねくれた質問に動じず、前を見据えてこう答えてくれた。

 

プルデンシャル生命の不祥事もあって、当局の関心を含め、足元では損保業界への風圧が相対的に和らいだとの声も聞かれる。ただ、逆風の中で門を叩いた若者たちのまっすぐな眼差しを曇らせることなく、損保業界が働き手からも真に「選ばれ続ける場所」となるための正念場は、これからも続きそうだ。

 

 

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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