テレワークによって「働き方改革」が進んだ
2019年4月1日から順次施行された「働き方改革関連法案」を覚えていますか。
より柔軟で生産性の高い働き方を求めたこの法律の背景には、少子高齢化による労働力不足や環境への配慮などがあります。柔軟に働きやすい環境や勤務形態を提供することで、従業員が一人一人のライフスタイルや事情にあわせた働き方を選択しやすくし、老若男女問わずより多くの人で社会を支えあう世の中にすることを目指しています。
そんな働き方改革の一環として、かねてから「テレワーク」も準備が進められていました。一部の企業ではサテライトオフィスの用意や在宅ワーク制度の導入が始まっていましたが、まだ一部の先進的な企業に限られ、全国的な動きにまでは至りませんでした。
それが、緊急事態宣言という非常事態によって、一気に全国へと広がったことになります。
新型コロナウイルスの流行は、今も私たちに大変な苦難をもたらしていますが、テレワークの普及に限ってみれば、私たちが働き方改革を加速して、ワークライフバランスを実現するきっかけとなったと考えられます。
共働き継続により、可処分所得が維持できる
小さなお子さんを抱えるご夫婦からのご相談では、「あと何年頑張れば、仕事を辞められますか?」「子どもが小学生になったら、正社員を辞めてパートになりたい」といった声を聞くことがあります。育児休業を取得して出産後も共働きを続けているけれど、仕事と子育ての両立に日々苦労している人の心の叫びと言えます。
もし、新型コロナウイルスが落ち着いた後も、夫婦それぞれが在宅ワークを選択できたら、こうした悩みを抱える人はずいぶんと減るのではないでしょうか。
例えば、男女問わずその日在宅で働いている人が保育園の送迎を担当できたら、子どもとゆったりした時間を取りやすくなります。パートナーが送迎をしているあいだにもう一人が家事を済ませることもできるでしょう。ワンオペから解放されて、家事や子育てを夫婦で分担し合うことは対等な夫婦関係につながります。また、共働きを継続することで世帯の可処分所得も維持できます。老後は夫婦それぞれが厚生年金を受け取れるので、老後不安も解消しやすくなるでしょう。