ビットコインの価格が過去最高値を更新しました。米国東部時間2020年12月16日の午前に初の2万ドル台に乗せた後、上昇スピードに加速がつき、年明けには3万ドルを突破しました。
当然、この動きは円建ての価格上昇にもつながります。ビットコインの円建て価格は、12月17日に1BTC=240万円をつけ、2017年12月につけた1BTC=220万円という過去最高値を更新しました。3月にコロナショックなどと言われる株価の急落が生じた際、ビットコインの価格も一時は1BTC=48万1678円まで下落しましたが、わずか9カ月で約5倍にまで跳ね上がっています。
「暗号資産=通貨」であっても、利益には税金がかかる
そもそもビットコインなどの暗号資産は通貨の一種なので、それ自体が価値を産み出すものではありません。したがって価格が急騰したとしても、その価格を裏付ける本質的な価値があるわけではないので、「上がるから買う、買うから上がる」といったように、値動きを材料視して資金を投じていることになります。それだけバブル化しやすいとも言えるでしょう。
今回のビットコインの価格急騰によって利益を得た人もいると思いますが、1つ注意しなければならないことがあります。といっても、「バブル化しているので値下がりリスクがある」などといった話ではありません。税金の問題です。
個人で暗号資産に投資して年内に利益確定した場合、その利益には税金が課せられますが、「暗号資産=通貨」というイメージが強いせいか、そのこと自体を意識していない人も多いようです。2017年に価格が急騰した時は、利益を確定させたにもかかわらず納税手続きを取っていなかったがために、後日、税務署から指摘された人も結構いたと聞いています。
暗号資産の売買で得た利益は「雑所得」に分類されます。雑所得とは、例えばアフィリエイト収入、インターネットオークションで得た収入、原稿料、講演料、印税などが含まれています。原則として雑所得は課税対象ですが、暗号資産の売買で得た利益も含めた雑所得が総額で20万円以下なら、確定申告不要制度によって申告する必要はありません。
しかし、現在の価格高騰により、利益額が20万円を超えている人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。2020年1月時点のビットコインは1BTC=77万円前後で推移しているので、この時に仕込んだ人は、12月22日時点の価格が1BTC=247万円前後なので、購入した数量が1BTCであったとしても、すでに170万円程度の利益が発生しています。ちょっとお金のある人が、1BTC=77万円の時に5BTCを買っていたとしたら、850万円程度の利益が発生していますから、文句なしに課税対象者です。
したがって、2020年1月1日から12月31日までに得た暗号資産の売買益については、2021年3月15日までに確定申告する必要があります。前述のように雑所得として申告書に記載し、給与所得と合算したうえで、生命保険料控除や医療費控除、寄付金控除などを差し引いた金額が「課税所得金額」になります。仮に、給与所得から各種控除を差し引いた金額が350万円で、暗号資産の売買益が150万円だったら、課税所得金額は500万円になるので、所得税率は20%、控除額は42万7500円です。
これに加えて、復興特別所得税として所得税額の2.1%が徴収されるので、所得税の総額は次のようになります。
所得税=500万円×20%-42万7500円=57万2500円
復興特別所得税=57万2500円×2.1%=1万2022円
所得税の合計額=57万2500円+1万2022円=58万4522円
これに住民税が加わり、住民税は課税所得金額に対して10%程度なので、課税所得金額が500万円だと50万円程度が住民税として差し引かれます。所得税と住民税を合わせると、約108万円が税金として徴収されることになります。