お金と上手に付き合うには、目標を数値化することが何よりも大事

まずは、お金を“あればあるだけ”使ってしまう現状と、将来の不安は混同しがちですが、実は別の問題です。ただ、どちらの問題も克服するには共通する点があります。それは、ただ「不安」と言うのではなく、目標を数値化して、具体的にするということです。

具体的な数値を伴った目標が定まっていなければ、現在との“ギャップ”を把握することができません。ギャップの把握=現状認識をしない限り、不安を解消する具体的な策も講じられないということです。

そんな大前提を踏まえ、2つの問題に対してそれぞれ考えていきましょう。

とにかく手元にお金があると使ってしまう……。「先取り」システムの構築を

まずはお金をあればあるだけ使ってしまうという悩みですが、きちんと対応すると簡単に解決できる悩みです。

例えば、加納さんはマンションの更新料を払うために毎月給料から天引きして会社で積立をされているとのことですが、このお金はいつでも使えるものではないですよね? 仮に使いたいとしても会社に申し出をしないといけないという心理的なブレーキが発生しますね。つまりブレーキがあれば、お金は使うことなく手元に残ります。

一般的には、このような先取り貯金をするとお金は貯まると言われます。これは本当ですが、これだけでは加納さんのようなお悩みを抱える方にとっては不十分なことも多いのです。

先取り貯金は重要なことですが、それがすぐに取り崩せる普通預金だと、困ったり、何か欲しい物があったりしたときにすぐにそのお金をアテにしてしまう……。つまり、ブレーキがほぼあってないようなもの、というわけです。

大事なのは頑張って積立をしたお金が、目的以外のことに消えないように心理の外側に隠すこと。例えば、簡単には取り崩せない場所に置くなど、もはや「なかったこと」にするくらいの手段をとるのです。

その意味で、iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)であれば原則60歳まで現金化ができないので、自分のお金であるものの手が出せない、という状態になり結果的に必ずお金が貯まります。ただし加納さんの場合、iDeCoを始めるにはある程度の手元資金を貯めてからにしたほうがよさそうですね(目安として、半年の生活費である120万円)。

では、どうすればいいかですが、積立を取り崩して現金化するのに多少ストレスがかかりブレーキになるもの、例えば銀行ならば定期積立、あるいは会社の財形貯蓄の積立額を大きくすることなどから始めましょう。まず120万円を目標に貯金、その次のタイミングでiDeCoも検討してみてください。