借金の返済を終えてから投資? それとも、両立しても平気?

月原さんの場合は、まず借り入れを早期で返済することが重要です。ローンをまとめて、新しく1つにまとまった返済により、今までよりも少なくなった返済額での生活にまずは慣れていくのがいいでしょう。

3カ月、半年と経って慣れてきたら、今せっかくモチベーションを高く資産形成に興味を持っているので、お金に対する勉強の一環として、積立投資を実行することもこれからの人生において重要とも感じます。

一般的には、投資(リターンは3%、よい場合5%)と借金の金利(10%強)差を考えたら非効率なので「まずは完済してから資産運用」というアドバイスも1つの王道なのですが、月原さんのケースは来年で返済のめどがたっており、また、人生を前向きに進めるためにもその非効率は“アリ”と考えます。

たとえば、現状は通信費に1万円かかっていますが、格安ケータイにかえることで数千円をねん出し、そういった“浮いたお金”で小さく投資デビューしてみるのもよいでしょう。

投資のスタートは、ゴールをイメージしてみること

さて、では投資デビューとセットで考えたい、ゴールについてです。

「老後が不安」ということなので、ここでは老後のための資産形成についてお話しします。まずは、月原さんは老後、いくら必要か。月原さんはまだお若く、これからご結婚されるのか、家はどうするかなどいろいろ未確定なことはありますので、平均をベースにしつつ、ざっくりと用意すべき老後資金の計算方法をお伝えします。まず、ざっくりとした計算のベースは、

老後の支出-老後の収入=用意すべき額 です。

一つ一つ要素を解説していくと、「老後の支出」は退職後の日々にかかる生活費です。20代の今、想像することは難しいかもしれませんので、総務省「家計調査報告―家計収支編(2019年)」の数字を見てみましょう。高齢者世帯(夫婦世帯/無職)の消費支出は23万9947円です。24万円としておきましょう。

そして、65歳で退職するとして、そこから何年分の生活費を用意するべきかは、「令和元年簡易生命表」を参考にしましょう。月原さんは25歳、平均寿命を参考に82歳までとしましょう。つまり、24万円×12か月×(82歳-65歳)=4896万円 となります。

さて、老後の収入です。大きく公的年金+企業からのお金(退職金、あれば企業型確定拠出年金)ですが、ここでは月原さんの公的年金のみで計算しておきます。

公的年金は男性の平均給付額が、16万5668円です。16万円として、16×12か月×(82歳―65歳)=3264万円――つまり、4896-3264=約1632万円 は必要となります。

ただ、保険料や税、医療費、介護費用も考えておく必要があります。また月に23万9947円とした生活費も、ここに旅行や趣味という「老後生活の潤い」を考えると、多くの人にとってはプラスαが必要と感じるでしょう。繰り返しになりますが、ご結婚するのか、何年生きるのか、未来は分かりませんが、以上のことを含みおき、目標の1つとして3000万円を目安とされるといいのではないでしょうか。この計算に含んでいない月原さんのお勤めの会社の退職金制度もリサーチしてみてくださいね。