アクティブファンドは、ファンドマネジャーの投資哲学によって運用されているため、個性が光るファンドがあるのも魅力の一つです。では、そのファンドマネジャーとはどんな個性の持ち主で、どんな哲学を持ってファンドを運用しているのでしょうか? いま気になるファンドマネジャーにインタビューしてみました。今回話を伺うのは、オーナー企業にこだわった運用で知られる「ミュータント」(日興アセットマネジメント)の北原淳平ファンドマネジャーです。同ファンドの過去一年の基準価額の騰落率は37.04%(2020年9月30日現在)と、堅調なパフォーマンスを上げています。

この人に聞きました
北原淳平
北原 淳平 日興アセットマネジメント 株式運用部 シニアファンドマネジャー

2019年7月、日興アセットマネジメント入社。同年8月から、将来爆発的な変貌を遂げ得る「ミュータント・カンパニー」を厳選して投資する日本株ファンド「ミュータント」の運用を担当。前職の東京海上アセットマネジメントでは素材アナリストを経験後、ファンドマネジャーとしてオーナー企業に特化して投資を行うファンドを運用。優れた運用実績で評価機関からの受賞多数。

「運用に携わる仕事」を目指して

――最初に、北原さんの簡単なご経歴を教えて下さい。

2005年に住友信託銀行(現三井住友信託銀行)に入社し、営業店を経て、本店のデリバティブ部門に異動となりました。その後、運用に携わる仕事がしたいと前職の運用会社に転職し、鉄鋼・素材のアナリストを5年間経験したのちに、2013年にオーナー企業に主に投資するファンドのファンドマネジャーとなりました。日興アセットマネジメントには、2019年の7月に入社しました。

――北原さんは、もともとファンドマネジャーになりたいというご希望はあったのですか?

そうですね。入行当初から、マーケットに接するような、「勝ち負け」が分かるような仕事がかっこいいなと思っていて、そういう仕事がしたかったんです。

――ご希望が叶って、本部で運用に携わる仕事に就かれたわけですね。

入行1年で本部のデリバティブ部門に異動することができたのですが、そこでの業務は自分のイメージしていたものとは全く別物でした。為替や金利のディーラーはマクロの動きに連動してどんどん動くため、ある種の反射神経が必要な仕事。ただ、自分がやりたいのはそうした仕事ではなく、個別銘柄にフォーカスして長期の変化を取りに行く、そういう仕事の方が自分は向いている、とはっきり分かりました。

――漠然とした運用への憧れから、ご自身の本当にやりたいことを見つけられたのですね。前職の運用会社に転職されたのも、それがきっかけだったのですか?

ええ。銀行の中でも運用部は人気の部署で、同期100人のうち2人いけるかどうか。悩んでいたところに、たまたま前職がジュニアアナリストを募集していたので、「このチャンスはぜひ生かしたい!」と転職しました。

――入社後は鉄鋼・素材アナリストとして活躍された後、オーナー企業を中心に投資するファンドマネジャーになられた。北原さんご自身がオーナー企業にこだわっていたわけではないんですね。

全くですね。たまたま運が良かったというか、運が降ってきた感じです。ただ、このファンドを担当することで、私自身とても鍛えられました。

――まさに運命の出会いですね。どのような点が鍛えられたと思われますか?

企業のオーナーというのは、明日、明後日も大事ですが、それよりもずっと先を見ています。数十年後も会社を大きくし続けるには高いビジョンを持ち、実現していくことが重要で、それをしっかりと認識されている経営者こそが優秀な経営者であり、会社を大きく成長させることができる人なのだ、ということを実感しました。そして、そうした経営者の方々との対話を通じて、私自身もファンドを運用する上で、哲学やビジョンをしっかり持たなくては、と思うようになりました。