ESGが「手段」ならSDGsは「目的」

Environment(環境)・Society(社会的責任)・Governance(企業統治)に配慮した企業活動に注目するESGも、SDGsと同様に、人類の共通課題を解決するための存在である国連から生まれた言葉だ。親が一緒のため、根本の考え方は近い部分がある。

ただあえて両者の違いを表すとするならば、前述した通りSDGsは「目標」であり、ESGはその目標を達成するために企業が取り組む「手段」だと言える。例えば企業がプラスチック製のストローを廃止し、紙製のストローを導入するなどESGを重視した活動を行うことで、SDGsの13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献すると言える。

またSDGsが投資家に限らず広い人々を対象とするのに対して、ESGは投資対象の文脈で使われることが多い。そのためSDGs投資とは言わないが「ESG投資」とは呼ばれる。企業はESGに配慮した経営を行うことで、投資家に支持されやすくなる側面がある。そして投資家は、ESGの視点を持って経営を行う企業に投資することで、間接的にSDGsの達成にも貢献できると言える。

投資家の立場でSDGsに貢献するためには?

一般の個人投資家がSDGsへの貢献度が高い企業に投資を行う方法としては、関連する投資信託を購入する方法などが挙げられる。

例えば、SDGsをファンド名に冠した主な投資信託を挙げると、「グローバルSDGs株式ファンド」(三井住友DSアセットマネジメント)「世界SDGsハイインカム・ファンド」(同)「ニッセイ SDGsジャパンセレクト」(ニッセイアセットマネジメント)「ニッセイ SDGsグローバルセレクト」(同)などがある。その他、ESG関連のファンドも複数設定されているが、今年7月に設定された「グローバル ESGハイクオリティ成長株式ファンド」は、約3830億円という大きな金額を集めて運用が開始されたことが話題となった。

さらに投資信託以外にも、ソーシャルレンディングサービスの「クラウドクレジット」などを利用すれば、資産運用と社会貢献を紐付けることができる。例えば同サービスで提供している「社会インパクト重視型パッケージ」は、メキシコ女性企業支援ファンドやアフリカ未電化地域支援ファンドなど、社会貢献に関連した複数のファンドが1つのパッケージで提供されている。

今回紹介したSDGsは金融の世界だけに限った話ではなく、人類全体が解決すべき目標だと言える。その目標に少しでも個人が貢献するためには日頃の節電や節水、マイバッグ持参といった行動に限らず、投資という手段があることも知っておきたい。