2019年は郵便局・ゆうちょ銀行による保険や投資信託の不適切販売が相次いで発覚し、厳しい非難を浴びたことは記憶に新しいが、金融機関の金融商品販売全体にとっても逆風が吹いた年だったと言えるだろう。その一方で、同年6月に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書が発端となり、いわゆる「老後2000万円問題」を巡ってさまざまな議論が巻き起こった年でもあり、結果として、資産運用への関心がかつてないほど高まったのも確かだ。
金融商品の販売現場へのアンケートから見えてきたもの
それでは、2019年度(2019年4月~2020年3月)の金融機関による投資信託など金融商品販売の実績はどうだったのか。また、実際に販売に携わる金融機関のアドバイザーたちは、どんな意識で業務に向き合っていたのか。2020年2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあっただけに、その実態に興味があるという人は少なくないかもしれない。
そこで今回は、資産運用ビジネスに携わるプロフェッショナル向けの情報誌『Ma-Do(マ・ドゥ)』が、銀行や証券会社などに所属する金融アドバイザーを対象に実施したアンケート調査の結果の一部を紹介したい(アンケートの実施期間:2020年3月~4月、回答数:224)。
まずは回答者の内訳を見てみると、地方銀行と第二地方銀行に所属するアドバイザーが合わせて約40%。メガバンクやゆうちょ銀行などを含めた銀行全体では5割を超える。一方の証券会社は約40%で、急速に注目が高まっているIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)が3.5%というのが主な属性だ。
年代別に見てみると、20代、30代を合わせて約6割と比較的若い印象もある。ただし、アドバイザーとしての経験を3年以上有する回答者が約8割、10年以上も約4割いて、特に銀行の場合は異動が多いことを考えると、比較的キャリアの長いアドバイザーの回答が多かったとも言える。顧客の資産をいくら預かっているのかという金額についても、投資信託だけで1億円以上という回答が5割を超え、10億円以上という回答者も約1割いた。