「勝てるファンド」を目利きするのもIFAの価値
保険・住宅ローン等をフックに資産運用の預り資産を積み上げるビジネスモデルを確立したHACOだが、IFA事業の開始は2019年の12月末とその歴はまだ半年ほど。はじめはマンパワー的に時期尚早と捉えていたが、FP事務所として運営を続けるうちに、VLの他にも、解約や投資期間・金額の変更が気軽に行え、また一括・積立の設定も自在な投資信託を扱うことで、投資期間の短い退職層や高齢者にも提案の幅が広がるのではと思い至るようになった。これが、IFA事業スタートの大きな理由だったという。
主力となるVLと投信には重なる部分も多いが、すみ分けは「持続可能性」を基準に考えているという。例えば、投資に回せる資金月5万円のうち、変額保険には3万円を、投信に2万円を充て、状況の変化に応じて投信部分を増減するといったやり方だ。
投信の具体的な商品については、全世界分散、セクター分散、20年以上のトラックレコード、アクティブファンドであることの4つの選定基準を設けている。
「分散は基本として、リーマン・ショック前後も含めた実績も参考にしたいという点、目利きの価値を提供すべきという考え方の体現」だと尾山氏は補足し、これらを満たしたファンドの1つとして、キャピタル世界株式ファンドを挙げる。投資先戦略の47年という運用実績や、運用期間の後期の利益が実際よりも大きく見えがちな指数表ではなく、対数表を説明資料のグラフに採用している点なども評価しているという。
「これは一例ですが、ロジックを磨いて正確なデータを取っていれば、どんな局面でもブレずに良いファンドを目利きできるはずです。一説には3分の1しかないとも言われる『インデックス投信に勝てるアクティブ投信』を見つけることもIFAの提供し得る価値の1つ。今後はそうした、ネットでは得られないアドバイスこそが対価をいただく対象となるのでは」と尾山氏は力説する。
それを象徴するように、証券口座の種別には、多くの商品で販売手数料が無料となるインターネットコースを採用している。投信に限らず保険についても販売手数料の値下げは不可避の流れにある中、ゆくゆくはコンサルティングフィーで稼ぐ意識で、販売手数料に頼らない収益構造を目指す。すでに相談の一部を有料とし、月5000円の顧問契約も用意するなど、その実現に向けた準備も進めているという。