FPが伝えた熟年離婚の絶対条件…感謝の気持ちを持って判断を

そこで、筆者は「離婚したいなら自分の収入で生活できる状態を作る必要があります。今は、貯蓄が900万円ほどあるとはいえ、取り崩すとすぐになくなります。貯蓄は予備資金です。これがなくなると、医療費や介護費が必要になった時に困ります。貯蓄を取り崩さずどう生きていくか考えてみてください」とお伝えしました。

優子さんは、しばらく黙っていましたが「収入がないと厳しそうですね。パートを探してみます」と言いました。「いくらくらい稼げばいいですか?」と聞かれたので、「自分の生活費をまかなえる程度です。その意味で、いくらくらいまで生活費を落とせますか?」と質問しました。

優子さんは「節約することも考える必要がありますね」と、ようやく自分自身の節約の必要性に気付いたようです。誠司さんの電気つけっぱなし、水の出しっぱなしも改める必要はあると思いますが、相手の行動を変えるより、自分の行動を変える方が簡単です。優子さんは、離婚しても生活ができるか知りたくて来られましたが、離婚できる条件は、たった1つ「貯蓄を切り崩さずに、自分の収入で生活を賄える見通しがあること」です。

「貯蓄が○○円もあるから離婚できる」と考える人はいますが、重要なのは金額ではなく収支バランスです。1億円持っていても収支バランスが悪ければあっという間に資産はなくなります。

一方、1000万円でも収支が黒字なら、十分生活できる人はいます。まずは、自らの収支を把握して自分の収入で生活が成り立つのか、検証することが大切です。具体的には、ねんきん定期便で年金額を確認し、毎月の生活費を書き出してください。もし、自分の収入では生活できないと分かれば、パートナーの収入に支えられてきたことへの感謝の気持ちが自然と生まれることも少なくありません。

優子さんも、自分が幸せに生きていくために感謝の気持ちを持って、離婚するかどうかを冷静に判断してほしいと思います。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。