新NISAで投資信託(投信)での運用が広まる一方、商品選びや投資方針に迷う人は多い。そんな中、個人投資家の目線で良質な投資信託を投票・表彰する「個人投資家が選ぶ! Fund of the Year」は2007年発足の草分け的アワードだ。前身となる「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」から長年ボランティアで運営を支えてきた、現在の実行委員長のかえる氏と運営委員のイーノ・ジュンイチ氏にアワード誕生の舞台裏から投票結果の変遷、優良ファンドの選び方や投信投資の本質についてまで本音を聞いた。
「本当に良い投資信託を見つけたい」、始まりは投信ブロガーの草の根交流
――「Fund of the Year」誕生の経緯について教えてください。
イーノ氏 2007年、ブロガーのrennyさんが個人ブログで「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」として始めたのがきっかけです。当時の世の中はブログブームで、投資信託について発信する人も増えていました。ただ、当時は信託報酬や購入時手数料が高すぎたり、対面販売で投信を次々に乗り換える回転売買をすすめられたりする状況もありました。次第に、「自分たちの手で本当に良い投資信託を見つけたい」という思いがブロガーの間で高まり、それが今に続く活動の下地になっています。
かえる氏 ブロガーの皆さんは、金融業界以外の仕事をされている一般の方が中心でした。お互い本名や住んでいるところなども知らず、ハンドルネームで交流する草の根の集まりでしたね。
イーノ氏 2008年にイベント化の話が盛り上がり、2009年1月のイベント「インデックス投資ナイト」内でFund of the Yearの表彰式を行うことになりました。表彰式では運用会社の方を招いて表彰状をお渡しするのがハイライトなのですが、その形式が始まったのがこの時でしたね。
――当時のランキングの傾向や印象に残っているファンドはありますか。
かえる氏 初期(2007年ごろ)は先進国株式に投資するファンドが中心で、複数のファンドを組み合わせてポートフォリオを構築するのが一般的な投信投資のスタイルでした。その流れを一気に変えたのがバンガードのVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)。このファンドが日本で投資できるようになったのは2009年ですが、そのころから「1本で全世界に投資できるファンド」が注目される空気に変わっていきました。
イーノ氏 一貫しているのは信託報酬などのコストが低いファンドが支持されてきた点です。VTはFund of the Yearで3回も1位(2009年、2012年、2013年)を獲得したのですが、この結果も日本の低コスト競争の大きなきっかけとなったのではないでしょうか。また、ひふみ投信やセゾン投信、鎌倉投信といった運用者の顔が見える直販系ファンドも、当時から根強い人気を集めていましたね。
