請求は想像以上に大変…母親が口にした後悔の言葉

ここまでの説明を聞いた母親は「ふー」と大きな息を吐きました。

「障害基礎年金の請求って、思ってた以上に大変なんですね……。長男の同意が取れたら、ぜひご協力をお願いしたいところです」

筆者は大丈夫ですよというように黙って頷きました。

面談の最後に、筆者は次のことも伝えておきました。

「障害年金(障害基礎年金および障害厚生年金)は、原則、初診日から1年6カ月が経過した日以降に請求できます。つまり、精神科を受診したからといって、すぐに障害基礎年金が請求できるわけではないのです。なので、ご長男には早めに精神科を受診してもらい、お母様が仕事を減らす前に障害基礎年金が受給できるようにしておきたいところです」

「そうなのですね。それならば、私の体がまだ動くうちに、早々に長男には受診してもらわなければいけませんね。もう私たち家族にはあとがないので、長男を何とか説得してみます」

母親は力強くそう言いました。

筆者との面談後、母親は弘幸さんを何度も説得。何とか弘幸さんに精神科を受診してもらうことができました。また、筆者が協力することの同意も取れたため、来るべき日に備え、母親と筆者は病歴就労状況等申立書や医師に渡す参考資料を作成することになりました。

母親は報告の最後に言いました。

「こんなことになるのなら、もっと早く動き出せばよかったです。主治医からは『受診や治療がもっと早ければ、ここまで症状が重くはならなかったかもしれません』と言われてしまいました……。今さら悔やんでも仕方がないので、これから長男のためにできることはやっていこうと思います」

確かに、早期受診、早期治療を受けていれば、状況はもっと変わっていたのかもしれません。

ですが、今まで一人で必死に頑張ってきた母親を筆者は責めることはできませんでした。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。