母子に立ちはだかるもう1つの壁

「請求に必要な書類のひとつに、病歴就労状況等申立書というものがあります。そこには診断書では書ききれない日常生活や就労の困難さをできるだけ詳しく記載することになっています。病歴就労状況等申立書には、発病から請求する直前までの様子を記載するルールになっています」

すると母親は顔を曇らせました。

「長男の場合20年以上の期間をまとめることになりますよね……。それってかなり大変な作業になってしまうのではないでしょうか」

「確かに作成は大変ですが、期間が長くなる場合は概ね3年から5年ごとに分けて記載してもよいことになっています。また、記載内容も的を絞っていけばそこまで分量も多くなりません。それでもお母様おひとりで作業をするのはしんどいことでしょう。もしご長男の同意が得られれば、私も作成に協力することができます。ご安心ください」

「それは助かります。そこまでやれば長男は障害基礎年金がもらえるということですよね?」

この質問に筆者はゆっくりと首を左右に振りました。

「残念ながら、それだけでは足りません。『障害基礎年金が受給できるくらい障害状態は重いのか?』といったことを文書で証明する必要があるからです。その文書とは、病歴就労状況等申立書と診断書です。特に診断書は重要です。診断書は医師が作成するものなので、こちら側でできることとしては『診断書の作成依頼をする前に、ご長男の日常生活の困難さを文書にまとめておくこと』です。その文書を医師にご覧いただき、診断書の作成の際に参考にしてもらうのです」