仕送り減額に気づいた一恵

仕送りを減額すると決めてから2週間後の土曜日、伊織たちがソファでテレビを見ながらくつろいでいると、信吾の携帯が鳴り響いた。

信吾が携帯を取ると、伊織はスピーカーにしてほしいと目くばせを送った。

「ねえ信吾、今月、3万円しか入ってなかったわよ。どういうこと? 何かの間違いかしら?」

信吾は伊織に目を向けてから答えた。

「母さんがそこまで生活に困ってないみたいだったから減らさせてもらったんだよ」

「何よそれ?」

「義弘に小遣いを渡したり、旅行に連れて行くだけの余裕があるなら俺の仕送りなんてなくても大丈夫だろう?」

すると一恵は不満そうな声を出した。義弘たちに小遣いを渡していることについては否定も言い訳もしなかった。

「はぁ? 今まで文句言わずに送ってたのにどうして急に減らすのよ。……分かったわ、どうせ伊織さんになんか吹き込まれたんでしょ? あの人は前から私に対して反抗的だったからね……! あんな女にいいようにされて恥ずかしくないの?」

一恵はスピーカーになっていることも知らずにまくし立てた。伊織は自分の耳を疑った。今まで伊織は一恵に反抗したことなど一度もなかった。

「2人で話し合って決めたことなんだ。俺たちにも生活があるんだし分かってくれよ」

「そんなわけないわ。あんたは分かってないようだけど、言いくるめられただけよ。昔から思ってたけど、伊織さんって冷たい人よ。親にお金を渡すのを止めるなんて信じられないわ……! そんな人と一緒にいてこの先幸せになれるって思ってるの? 先が思いやられるわよ」