母の経済状況に疑問を抱く信吾
2日後、伊織たちは自宅へと戻った。
荷物を片付けて2人だけで夕食を取ったあと、2人で晩酌をしているとき、伊織はゆっくりと口を開いた。
「ねえ、ちょっと話があるんだけど」
「ん? どうかした?」
信吾は塩辛を食べていた箸を止めて伊織に目を向けた。
「たまたま見ちゃったんだけどね、お義母さんが義弘くんたちにお金を渡してたの。信吾は知ってた?」
「何それ? 知らない」
信吾は顔をしかめながら首を横に振った。
「しかもこの前のゴールデンウィークは一緒に温泉旅行にも行って、その宿代は全部お義母さんが出したんだって」
伊織の話を聞き、信吾もさすがに驚いて言葉が出ないようだった。
「私ね、それを聞いてからずっと考えてたの。お義母さんに仕送りしている5万円って本当に必要なのかなって……」
「……いやでも、それは母さんから直接言われたことだしさ」
信吾は困ったように眉を寄せた。
「別に全部ナシにしてって言ってるわけじゃないの。お義母さんが本当に困ってるなら今まで通りでいい。でも旅行代を出したり、義弘さんたちに毎回お金を渡せるくらいの余裕があるなら5万は多いんじゃないかって思うの」
「うーん、まあなぁ」
信吾はグラスに目を落とした。
「私たちだってこれからマンションを買ったり、将来のことを考えたりしないといけないでしょ。お義母さんが本当に困ってるなら私だって何も言わないよ。でも、義弘さんたちにいい顔する余裕があるなら、毎月5万円も送り続ける必要はないんじゃないかな」
信吾は腕を組んで考え込んでいたが、しばらくして大きくうなずいた。
「……そうだな、伊織の言う通りかもな。減らして貯金に回すよ」
