注目トピック:高市政権の成長戦略と日本の財政
Topic①:高市政権のリフレ的政策 市場の信認確保が課題に
高市早苗首相のもとで初めてとなる経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」が2026年7月21日に閣議決定されました。今回の骨太の方針では、経済成長に重きを置き、国の借金を恐れず未来の成長分野に投資して、経済全体を大きくする方針となっています。昨年、石破首相のもとで策定された骨太の方針と比べても、戦略産業への投資拡大で、2040年度の名目GDP目標を1000兆円から1100兆円まで引き上げるなど野心的な内容となっています(下図上段)。
また、財政運営の方針についても昨年と比べて内容が大きく異なります。具体的には、財政運営の目標を「基礎的財政収支(PB:Primary Balance)の黒字化(フローで黒字化)」から「債務残高対GDP比の安定的低下(ストックで改善)」に切り替え、「緊縮財政」から「責任ある積極財政」への転換を図っています。その結果、内閣府が7月30日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」を見ると、国・地方のPBおよび財政収支の対名目GDP比見通しは昨年の試算より悪化しています(下図下段)。また、2001年に骨太の方針の策定が始まって以来、「財政運営の健全化」という文言が毎年記載されていましたが、今回は削除されており、その点からも積極財政への転換が示されています。
一方、このような財政運営方針の転換に伴う副作用として、高市政権の政策は過度にリフレ的(=景気過熱を避けながら財政支出拡大で景気を刺激する)との見方から、金利上昇圧力が強まっています。この先、27年度予算編成の過程で「責任ある積極財政」に対する市場の信認を得られるか注視する必要があります。

