病院から見つかった奇跡のカルテ

小学生の頃に受診した病院に今もカルテが残っているのか?

そもそもその病院がまだ存続しているのか?

現時点では何も分かっていないということです。

そこで筆者はスマートフォンを取り出し、インターネットで病院を調べてみました。すると、その病院は統合・再編されてしまいましたが、現在も存続していることが分かりました。

すぐさま母親から病院に電話で問い合わせをしてもらったところ、幸いにも当時のカルテが再編先の病院に残っていることが分かったのです。

これで初診日の証明はクリアできます。

電話を終えたあと、母親は「ふぅ……」と長い息を吐き、スマートフォンを机の上に置きました。

その姿を見た筆者は言いました。

「諦めるのはまだ早いようですね。あとは、お嬢様が再び精神科や心療内科を受診し、医師に診断書を書いてもらえれば、請求までこぎつけることはできます」

家族だけでは限界…専門家と二人三脚で受給を目指す

「これから受診する病院はどこでも大丈夫なのでしょうか?」

「はい、大丈夫です。どこでも構いません。ですが、障害基礎年金が受給できるかどうかは、医師の作成する診断書と本人または代理人が作成する病歴就労状況等申立書の記載内容によるところが大きいです。特に診断書は重要です。そこで医師に診断書を依頼する前に『お嬢様が発達障害で日常生活がどのくらい困難なのか?』といったことを文書でまとめておくとよいでしょう。その文書を医師にご覧いただくようにするのです」

「何だか難しそうですね……。文書をまとめるだけでもかなり大変そうです」

「確かにご家族だけで請求までこぎつけるのは、時間も労力もかなりかかってしまうことでしょう。なので、そこは他人の力も借りることを検討していただきたいと思うのです。年金を専門としている社会保険労務士であれば、請求までの最短の道筋を立てることもできますし、どのようにすれば受給の可能性が高まるのかも知っています。お嬢様の同意が得られれば、私がご協力することもできます。ご安心ください」

「そうですよね。家族だけでは限界がありますものね。専門家に手伝ってもらえること、長女にも話してみます」

母親はほっとした様子で言いました。

筆者との面談後、母親は麻子さんに事情を説明。何とか精神科を受診してもらうことになりました。

医師に診断書を依頼するまでの間、母親と筆者は麻子さんの現在の日常生活の困難さを文書にまとめることにしました。

まず筆者が質問を投げかけ、母親がそれに答える。その内容を筆者が文書に一つずつまとめていく。このような作業を繰り返し、文書を完成させました。その後、診断書の作成を依頼。診断書が完成するまでの間、筆者は請求に必要なその他の書類を揃えていきました。

診断書が入手できたあと、すみやかに障害基礎年金の請求をしました。