通帳に並ぶ不審な出金

翌日、彩佳は大学の同期である里菜の買い物に付き合っていた。新生活を始める準備も兼ねた家具の買い物が一段落し、遅めの昼食と休憩としてカフェに入ると、里菜がテーブルを挟んだ向かいの席から、彩佳の顔を覗き込んだ。

「どうしたの? 朝からずっと元気ないけど」

「……うん。実は昨日ね、お母さんから通帳をもらったの。うちはお年玉とか全部親に預けて管理してもらうっていうルールだったから」

「ああ、よくあるよね。うちもそうだったよ」

里菜はそう言ってコーヒーを口に付けた。

「それで、昨日もらった通帳の情報をアプリに登録してたら、お金が引き出された履歴があってね……。うちは母子家庭だから、大学の授業料の一部は私の口座から出してたの。お年玉だけじゃなくて、お父さんから相続した遺産も入ってたし」

大学入学以来、ずっと仲がいい里菜は、彩佳の家庭の事情や父のことも知っている。

「何が問題なの?」

「うん……。学費じゃないよなっていう2万とか3万の細かい出金がいくつもあってさ。全部合わせたら80万くらいあるんだよね……」

「……え? 80万?」

里菜は金額に目を丸くしていたが、彩佳のことを励ましてくれた。

「ちゃんと聞いてみたほうがいいよ。彩佳のお金なんだし、こういうのは我慢しないで、きちんと確認しておいたほうが絶対いいって」