良かれと思っての口出しが招いた、まさかの破談

悩んだ末、鈴木さんは結婚しないと心に決め、吉本さんに「結婚は無理」と伝えたそうです。ここまで事態が大きくなるとは思っていなかった吉本さんにとって、それはまさに青天の霹靂でした。鈴木さんの奨学金のことは知っていましたし、夫婦になれば自分が返済を手伝ってもいいとさえ考えていました。ただ父親が奨学金の返済を心配しているだけだと思っていたので、なぜこんな事態になったのか、彼には理解できなかったのです。

「家族が仲良く平和に暮らせることを望んでいただけなのに、なぜこうなってしまったのか」

吉本さんは苦悩しました。間に入ってきちんと話をしなかったことを謝り、吉本さん自身は関係修復を望みましたが、家族の問題に主体的に向き合わなかった姿勢に、鈴木さんの気持ちはすでに離れていました。これで、二人は完全に決別することになりました。

奨学金をめぐるトラブルは、決して珍しいものではありません。ですが、お互いが感情的になり大揉めになってしまうのは、本当に痛々しいことです。奨学金を利用した理由を、お互いに理解し合うことこそが大切なのでしょう。

「家族会議」という言葉をよく耳にしますが、何でも家族と共有すればいいというものでもないと、私は思います。いろいろな意見が飛び交ううちに、「家族の言うことだから」と、「なるほど、そういう考え方もあるよね」と結局あきらめてしまう。そんなケースも少なくありません。そうして「じゃあ、やめておこう」となってしまうのです。

家族のことを心配して助言するのは、もちろん素敵なことです。ですが、家族にはそれぞれの立場や考えがあります。親として子どもが心配なのは当然としても、最終的には本人に判断させることこそが、親の務めではないかと私は思います。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。