経済的な負担を緩和する「新生活運動」の制度に驚き

義父は亮真のお母さんと亮真が中学生になった頃に離婚していたので、私は亮真の妹の夕貴ちゃんと手分けして葬儀の準備を進めることになりました。

夕貴ちゃんは亮真より8つ下で、当時はまだ大学を出て就職したばかり。年齢の割には大人びたタイプで事務的な能力も高く助かりましたが、まだ若いこともあり、亮真から「奈緒に全部任せる」と言われた以上、祭壇や棺から葬儀の進め方、香典返しなど、いろいろなことを自分で決めなければなりませんでした。

私の両親は健在ですし、身内の葬儀を経験するのは高校生の時に母方の祖父が亡くなって以来。といっても、その時は周りの大人が何から何まで手配してくれたのでとても経験の数には入らず、実質初めての葬儀を仕切るのは荷が重い作業でした。葬儀は家族葬で、葬儀会社の担当者がベテランの方で手取り足取り教えてくれたので、何とか乗り切れた感じです。

火葬するには許可証が必要で、そのためには役所に死亡届を提出しないといけないとか、ご存じの方なら「そんなの当たり前でしょ」と思うようなことさえ、当時の私は知らなかったのです。

亮真の実家のある地方には「新生活運動」という制度があることも、その時、初めて知りました。新生活とは、冠婚葬祭の経済的な負担を緩和するために、お香典を少額にして代わりに香典返しは遠慮するというものです。

お香典は1000円や3000円に統一され、式場で会葬礼状とお清めの塩などの簡単な会葬御礼を渡すだけで、香典返しは一切不要なのだそうです。

葬儀会社の担当者から初めて聞いた時は少々驚きましたが、考えてみれば、喪主にとっても会葬者にとっても悪くない制度ですし、東京にもこういう制度があればいいのにと思いました。