増えている「いつでも使えるお金」と「投資信託&株式」

では、みんなどのような資産を持っているのだろうか。調査で定める「貯蓄額」には預貯金、保険、有価証券などが含まれる。

その内訳を見ると、いつでも引き出せる通貨性預貯金(普通預金など)は710万円(前年比2.6%増)で、なんと17年連続で増えている。不確実な時代、インフレ対策や投資資金のため、「何かあったときのために」と手元に置いておく意識の根強さが背景にありそうだ。

一方で、目を見張るのが有価証券(投資信託や株式など)の伸びだ。440万円と、前年から16.7%も急増している。貯蓄全体の伸び率(3.8%)と比べてもその勢いは顕著だ。近年の株高やNISA、iDeCoの普及が家計に浸透している可能性がうかがえる。

貯蓄額の中央値を老後の20年間にあてはめると、単純計算で月々わずか約5万円しか切り崩せない。年金があるとはいえ、物価上昇や老後の医療費などを考えれば安心できる数字ではないだろう。約3分の2の世帯が平均に届いていない現実からも、多くの家庭で老後資金の準備が十分とはいえないのが実情だろう。

一方で、有価証券の突出した伸びは、貯めるだけでなく増やす意識が家計に浸透しつつあることを示している。インフレ時代に突入した今、預貯金口座に預けておくだけでは資産の価値は実質的に目減りしてしまう。

決めるのは自分

平均値はあくまで参考情報であり、過度に気にする必要はない。自分はどうするのか。人と比べるのではなく、自分のこれからを考えるための情報収集に励みたい。

なお、老後資金を育てるならiDeCoも選択肢の1つになる。最大のメリットは月々の掛金が全額所得税・住民税の控除対象になり、運用の利益もすべて非課税になるという税制優遇があることだ。今年12月の法改正で掛金額の上限がアップすることでも注目が高まるiDeCo。今一度考えてみる価値があるのではないだろうか。